Blender初心者向け|テクスチャの貼り方と便利なQuick Favorites活用法

マテリアル、テクスチャのタイトル

Blenderでオブジェクトにリアルな質感を加えたいけど、テクスチャの貼り方が難しくて困っていませんか?
この記事では、初心者の方がつまずきやすいポイントを押さえながら、テクスチャを貼る基本手順からキレイに見せるためのUV展開、さらには作業がぐっと速くなるQuick Favorites(クイック フェイバリッツ※お気に入りに登録と言う意味)の活用法まで、一通り全部わかるように解説しています。
よくある「表示されない」「画像が歪む」といったトラブルの解決法も紹介しているので、もうテクスチャ作業で悩むことはありません。
この記事を読めば、あなたの作品がもっと魅力的になります!

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目次

テクスチャとは?

Blenderを始めたばかりだと、「テクスチャ」ってなんだか難しそうに聞こえるかもしれませんね。でも大丈夫、考え方はとってもシンプルです。テクスチャは、3Dモデルの表面に貼り付ける「画像」や「模様」のことなんです。 たとえば、作ったモデルが真っ白な粘土細工だとしたら、テクスチャはその粘土に色を塗ったり、木目やレンガのシールを貼ったりする作業にあたります。 これがあるだけで、モデルが一気にリアルになったり、表現の幅がぐっと広がったりする、すごく大事な要素なんですね。

マテリアルとテクスチャの違い

ここで初心者の人がよく迷うのが、「マテリアル」との違いです。 どっちも見た目を変えるものだけど、役割がちょっと違います。マテリアルが「材質」そのものを決めるのに対して、テクスチャは表面の「柄」や「模様」を担当します。 この2つはセットで使うことが多く、それぞれの役割を理解すると、作りたい見た目を自由に表現できるようになります。

要素役割具体例
マテリアルオブジェクトの「材質」を決める設定。光の反射具合(ツルツルかザラザラか)や、透明度などを調整します。金属、ガラス、プラスチック、布地といった素材感の表現
テクスチャマテリアルに貼り付けて使う「画像」や「模様」のこと。 色や柄、細かい凹凸などのディテールを追加します。木目、レンガの柄、キャラクターの服の模様、地面の土や草

つまり、「ツルツルした金属」というマテリアルに、「錆び付いた模様」のテクスチャを貼る、といった使い方をするわけですね。

Blenderで使えるテクスチャの種類(画像・手続き型)

Blenderで使えるテクスチャには、大きく分けて2つの種類があります。作りたいものによって使い分けるのがおすすめです。

種類概要メリットデメリット
画像テクスチャ写真やイラストなどの画像ファイル(JPEGやPNGなど)をモデルに貼り付ける方法です。写真を使えるので、とてもリアルな表現がしやすいです。また、自分で描いたイラストをそのまま使えるので直感的です。画像を拡大するとぼやけてしまうことがあります。つなぎ目が目立たないように「シームレス画像」を用意する必要がある場合も。
手続き型(プロシージャル)テクスチャBlenderの機能を使って、数式や計算で模様を自動生成する方法です。 ノイズやチェック柄、レンガ模様などがあります。どれだけ拡大しても画像が荒れないのが大きな強みです。 パラメータを変えるだけで色や形を無限に調整できます。狙った通りの複雑な模様を作るには、ノードの知識が少し必要で、慣れるまで少し時間がかかるかもしれません。

最初は分かりやすい「画像テクスチャ」から始めてみて、慣れてきたら「手続き型テクスチャ」でオリジナルの模様作りに挑戦してみるのがいいかもしれませんね。

広い透明ガラスのオフィスロビーで都会を見下ろし男女4人で打ち合わせ

テクスチャを貼る基本手順

Blenderでオブジェクトに好きな模様や絵を貼り付けたいとき、まず覚えるのがこの基本手順です。3Dモデルに命を吹き込む第一歩なので、一緒にゆっくり進めていきましょう!

オブジェクトの選択とマテリアル追加

テクスチャは、「マテリアル」という土台があって初めて貼り付けられます。 まずは、色を塗るためのキャンバスを用意するイメージで、オブジェクトに新しいマテリアルを追加してあげましょう。

手順はとってもシンプルですよ。

  1. 3Dビューポートで、テクスチャを貼りたいオブジェクトを右クリックして選択します。
  2. 画面右側にあるプロパティエディタの中から、丸いアイコンの「マテリアルプロパティ」を選びます。
  3. 「新規」ボタンをクリックすると、オブジェクトに新しいマテリアルが追加されます。 これで準備完了です!

マテリアルスロットに「Material.001」のような名前が表示されたらOKです。このマテリアルに対して、これからテクスチャを設定していきます。

シェーダーエディタの使い方(Principled BSDFに画像を接続)

マテリアルの準備ができたら、次はいよいよテクスチャを設定する「シェーダーエディタ」の出番です。ここはノードと呼ばれるブロックをつなぎ合わせて、オブジェクトの質感を細かく作っていく場所なんです。

Blenderの画面上部にあるワークスペースから「Shading」タブを選ぶと、シェーダーエディタが使いやすい画面レイアウトになりますよ。

エディタ画面を見ると、すでに「プリンシプルBSDF」という大きなノードと、「マテリアル出力」というノードがつながっているはずです。このプリンシプルBSDFこそが、オブジェクトの色や質感の「心臓部」なんです。 これは物理ベースの非常に優れたシェーダーで、これ一つで現実世界のほとんどの物質感を表現できてしまいます。

ここに画像テクスチャをつなぐことで、オブジェクトの表面に画像が表示されるようになります。具体的には、後ほど作成する画像テクスチャノードの「カラー」と書かれた黄色い丸(ソケット)から、プリンシプルBSDFの「ベースカラー」と書かれた黄色い丸へ、線(ヌードル)をドラッグしてつないであげます。

画像テクスチャの読み込み方法

シェーダーエディタに、使いたい画像を読み込む方法はいくつかありますが、ここでは代表的な2つの方法を紹介しますね。どちらもよく使うので、やりやすい方で試してみてください。

方法手順ポイント
メニューから追加シェーダーエディタ上で「Shift + A」キーを押して「追加」メニューを出し、「テクスチャ」→「画像テクスチャ」を選びます。 追加されたノードの「開く」ボタンから、使いたい画像ファイル(JPG, PNGなど)を選択します。Blenderの基本操作なので、覚えておくと他のノードを追加するときにも応用が利きます。
ドラッグ&ドロップパソコンのファイルエクスプローラー(フォルダ)から、使いたい画像ファイルを直接シェーダーエディタの画面上にドラッグ&ドロップします。直感的でスピーディーな操作が魅力です。 複数の画像をまとめて読み込みたいときにも便利ですね。

これで、オブジェクトに画像テクスチャを貼り付けるための基本的な流れは完了です。もしテクスチャがうまく表示されなかったり、歪んでしまったりする場合は、次の章で解説する「UV展開」という作業が必要になるかもしれません。

パソコンの前で背伸びしている女性

UV展開の基本

テクスチャをモデルにきれいに貼り付けるには、「UV展開」という作業がとっても大切です。なんだか専門用語みたいで難しそうに聞こえるかもしれませんが、基本的なやり方さえ分かれば大丈夫ですよ。ここでは、3Dモデルにテクスチャという服をきれいに着せるための型紙作り、「UV展開」の基本を分かりやすくご紹介しますね。

UV展開とは何か

そもそもUV展開とは、立体的な3Dモデルの表面を切り開いて、2Dの平面的な「展開図」にする作業のことです。 ちょうど、サイコロの箱を展開図に戻したり、ぬいぐるみの型紙を作ったりするイメージに近いかもしれません。3Dモデルは立体(XYZ軸)で、テクスチャにする画像は平面(XY軸)なので、そのままではうまく貼り合わせることができません。そこで、このUV展開という作業が必要になるんです。

このとき作られる展開図の座標のことを「UV座標」と呼びます。Uが横軸、Vが縦軸を指しているんですよ。つまりUV展開は、3Dモデルにテクスチャという「服」をきれいに着せるための「型紙」を作る、大事な下準備というわけです。

自動展開(Smart UV Project)の方法

Blenderには、複雑な設定をしなくても自動でUV展開してくれる「スマートUV投影(Smart UV Project)」という、とっても便利な機能があります。 急いでいる時や、まずは大まかにテクスチャを確認したい、なんて時にすごく役立ちますよ。

やり方はとっても簡単です。

  1. オブジェクトを選んで「Tab」キーを押し、「編集モード」に入ります。
  2. キーボードの「A」キーを押して、モデルのすべての面(メッシュ)を選択します。
  3. 「U」キーを押すと出てくるメニューから、「スマートUV投影」を選びます。
  4. OKを押すだけで、自動的にUV展開が実行されます。

この時、小さなウィンドウで設定を調整できます。特に「島の余白(Island Margin)」は、展開されたパーツ同士の間隔を調整する項目で、少し値を大きくしておくと後の作業がしやすくなるのでおすすめです。

設定項目内容
角度の制限 (Angle Limit)面の角度がここで設定した数値より大きい場合に、自動で切れ目(シーム)を入れてくれます。
島の余白 (Island Margin)展開された各パーツ(UVアイランド)の間に、どれくらい隙間を空けるかを設定します。

ただし、自動展開は万能ではなく、自分の思った通りではない場所で分割されてしまうこともあります。 よりきれいに仕上げたい場合は、次の手動での調整方法を覚えるのがおすすめです。

手動でUVを調整する手順

モデルのクオリティをさらに上げたいなら、手動でのUV展開に挑戦してみましょう。手動で行う場合、どこでモデルを切り開くかという「シーム(縫い目)」を自分で決めるのがポイントです。 このシームは、ぬいぐるみの縫い目と同じで、なるべく目立たない場所に入れるのがきれいに仕上げるコツですよ。

手動での展開は、主に「UV Editing」ワークスペースで行います。

  1. まず、モデルを切り開きたい辺を「編集モード」で選択します。
  2. 辺を選択した状態で右クリックし、メニューから「シームをマーク」を選ぶと、選んだ辺が赤色に変わります。 これが展開図の切れ目になります。
  3. 必要な箇所すべてにシームを付け終えたら、「A」キーでメッシュを全選択します。
  4. 「U」キーを押してメニューを出し、「展開」をクリックすると、シームを基準にUVが展開されます。

展開が終わったら、左側の「UVエディタ」画面で微調整を行います。UVエディタ上では、3Dビューポートと同じように、頂点や辺、面を選んで移動(Gキー)、回転(Rキー)、拡大縮小(Sキー)ができます。 テクスチャの伸びや歪みをなくすには、このUVエディタでの丁寧な調整がとても大切なんです。 また、「UV同期選択」をオンにすると、3Dビューでの選択とUVエディタでの選択が連動するので、作業がしやすくなる場合がありますよ。

テクスチャの調整

テクスチャをオブジェクトに貼り付けた後、見た目をさらに良くするために調整作業が必要になることが多いです。なんだか模様が大きいな、とか、向きがちょっと違うな、と感じたことはありませんか?ここでは、シェーダーエディタで「ノード」と呼ばれる機能ブロックをつなぎ合わせながら、テクスチャの大きさや向き、位置を自由自在に変える方法を紹介します。この一手間で、作品のクオリティがぐっと上がりますよ。

スケール・回転・位置の変更

テクスチャの大きさ(スケール)、向き(回転)、場所(位置)を調整するときに大活躍するのが「マッピング」ノードです。 このノードを使うと、まるで画像編集ソフトのようにテクスチャを動かしたり、回したり、大きくしたり小さくしたりできます。

まずはシェーダーエディタを開いて、Shift + Aキーから「ベクトル」の中にある「マッピング」ノードを追加してみましょう。 そして、すでにある「テクスチャ座標」ノードと「画像テクスチャ」ノードの間に、このマッピングノードをつなぎます。 具体的には、「テクスチャ座標」ノードの「UV」出力ソケットから「マッピング」ノードの「ベクトル」入力ソケットへ、そして「マッピング」ノードの「ベクトル」出力ソケットから「画像テクスチャ」ノードの「ベクトル」入力ソケットへとつなぐのが基本の流れです。

マッピングノードには、主に以下の3つの項目があります。

項目役割
位置 (Location)X、Y、Zの値を変更することで、テクスチャをそれぞれの軸方向にスライドさせることができます。
回転 (Rotation)X、Y、Zの値を変更することで、それぞれの軸を中心にテクスチャを回転させられます。 例えば、木の板の木目を縦から横に変えたい時などに便利です。
スケール (Scale)X、Y、Zの値を変更することで、テクスチャを引き伸ばしたり縮めたりします。 値を大きくすると模様が細かくなり、小さくすると模様が大きくなります。

例えば、スケールのXの値を「2」にすると、テクスチャは横方向に2倍細かく(小さく)表示されます。 このように、数値を直接いじりながら、自分のイメージに合う見た目になるように調整してみてください。

繰り返し(タイル化)の設定

壁や床、地面など、広い範囲に同じテクスチャを敷き詰めたい時ってありますよね。そんな時に使うのが「繰り返し(タイル化)」の設定です。実はこれも、先ほど紹介した「マッピング」ノードの「スケール」を調整することで簡単にできちゃいます。

画像テクスチャノードは、初期設定で「繰り返し(Repeat)」が有効になっているので、UV座標の範囲外にもテクスチャを自動で繰り返してくれます。 そのため、マッピングノードの「スケール」の値を1より大きくするだけで、テクスチャがタイル状に繰り返されるようになります。

例えば、スケールのXとYの値を両方「3」に設定すると、縦横に3倍細かくなり、結果として3×3のタイル状にテクスチャが敷き詰められます。逆に値を「0.5」のように小さくすると、テクスチャが拡大表示されます。この仕組みを使えば、レンガの壁やタイルの床など、規則的なパターンの表現がとても手軽にできますよ。

ノードを使ったテクスチャ座標の制御

テクスチャを「どのように」オブジェクトに貼り付けるかを決める、いわば設計図の役割を果たすのが「テクスチャ座標」ノードです。 このノードの出力ソケットを切り替えることで、貼り付け方の基準そのものを変更できます。

シェーダーエディタでShift + Aキーから「入力」の中にある「テクスチャ座標」ノードを追加しましょう。 このノードにはいくつかの出力方法があり、それぞれに特徴があります。

出力の種類貼り付け方の基準と特徴
生成 (Generated)オブジェクトをちょうど囲む箱(バウンディングボックス)を基準に自動で座標を生成します。 UV展開をしなくても手軽に使えますが、オブジェクトの形を変えるとテクスチャが伸びてしまうことがあります。
UV自分で設定したUVマップを基準にします。 最も一般的で、キャラクターや複雑な形のオブジェクトでも、狙い通りにテクスチャを貼ることができる一番確実な方法です。
オブジェクト (Object)オブジェクトの原点を基準にします。 オブジェクトを動かしたり変形させたりしても、テクスチャがオブジェクトに張り付いたままズレにくいのが特徴です。
カメラ (Camera)見ているカメラや視点を基準にします。 オブジェクトを動かすと、テクスチャが固定されたまま背景のように見える、ちょっと特殊な貼り方です。

基本的には、「テクスチャ座標」ノードの「UV」から「マッピング」ノードにつなぎ、そこから「画像テクスチャ」ノードへとつなぐのが王道の使い方です。 ですが、作りたいものによっては「生成」や「オブジェクト」を使ってみると、思わぬ面白い表現ができたり、作業が楽になったりすることもあります。いろいろ試してみて、それぞれの違いを体感してみるのがおすすめです。

Quick Favoritesで作業効率化

Blenderでのテクスチャ作業、たくさんのメニューやショートカットがあって、覚えるのがちょっと大変と感じることもありますよね。そんな時にぜひ使ってみてほしいのが「Quick Favorites」機能です。よく使う操作を登録しておけば、メニューの奥深くを探し回らなくても、キー一発でサッと呼び出せるので、作業がぐっとスムーズになりますよ。

Quick Favoritesとは?(右クリックでお気に入り登録)

Quick Favoritesは、ひと言でいうと「自分だけのオリジナルショートカットメニュー」を作れる機能です。Blenderのほとんどの機能は、そのボタンやメニューの上で右クリックすると「Add to Quick Favorites」という選択肢が出てきます。これをクリックするだけで、お気に入り登録は完了です。

登録した機能は、ショートカットキーの「Q」を押すと一覧で表示され、そこから選ぶだけですぐに実行できます。
何度も繰り返す操作を登録しておけば、クリック数が減って、驚くほど作業がはかどります

よく使うテクスチャ関連機能を登録する例

テクスチャを貼る作業では、UV展開やシェーダーの編集など、いろいろな画面を行き来することが多いです。ここでは、テクスチャ作業が特に快適になる、おすすめの登録機能を紹介します。

UV展開コマンド

テクスチャをきれいに貼るために欠かせないのがUV展開です。編集モードで「U」キーを押してメニューを開くのが基本ですが、これもQuick Favoritesに登録しておくと一手間省けます。「Smart UV Project」のように、よく使う展開方法を登録しておけば、オブジェクトを選んで「Q」キーを押すだけですぐに展開できるので、とても便利です。

シェーダーエディタのノード追加

シェーダーエディタでノードを追加するとき、「Shift + A」でメニューを開いて探すのが少し面倒に感じることもありますよね。特に、「Image Texture(画像テクスチャ)」や、テクスチャの位置や大きさを調整する「Texture Coordinate(テクスチャ座標)」、「Mapping(マッピング)」のノードは頻繁に使います。これらを登録しておけば、ノードを探す時間がなくなり、アイデアをすぐに形にできます

「Shade Smooth」や「Apply Scale」など補助機能

テクスチャ作業そのものではありませんが、モデルの見た目を整えたり、テクスチャの歪みを防いだりするために使う補助機能も、登録しておくと非常に役立ちます。例えば、モデルの表面を滑らかに見せる「Shade Smooth」や、オブジェクトの拡大・縮小情報をリセットしてテクスチャの歪みをなくす「Apply Scale」は、必須ともいえる操作です。これらの地味だけど大切な準備作業を、瞬時に終わらせられるようになります。

機能の種類登録しておくと便利なコマンド例どんな時に便利?
UV編集Smart UV Project, Unwrap, Mark SeamオブジェクトのUVを展開したり、切れ目(シーム)を入れたりする操作を素早く行いたい時。
シェーダー編集Image Texture, Texture Coordinate, Mappingシェーダーエディタで、画像テクスチャの追加や座標調整のノードをすぐに出したい時。
オブジェクト操作Shade Smooth, Apply Scaleモデルの見た目を滑らかにしたり、テクスチャが歪まないようにスケールを適用したりする時。

ワークフローがどう変わるか(時短のポイント)

Quick Favoritesを使いこなせるようになると、Blenderの操作がこれまでと全く違って感じられるはずです。今まではメニューの場所を思い出したり、マウスを何度も動かしてクリックしたりしていた時間が、ほぼゼロになります。

例えば、新しいオブジェクトにテクスチャを貼る一連の流れが、「オブジェクト選択 → QキーでShade Smooth → QキーでApply Scale → QキーでSmart UV Project」というように、Qキーを中心とした最小限の操作でリズミカルに進められるようになります。思考が中断されないので、クリエイティブな作業にもっと集中できるようになるのが、この機能の一番うれしいポイントです。ぜひ、自分だけの使いやすいお気に入りメニューを作って、快適なBlenderライフを楽しんでみてください!

よくあるトラブルと解決法

Blenderでテクスチャを扱うとき、初心者の人が「あれ?」となりがちなトラブルがあります。でも大丈夫、ほとんどは簡単な設定の見直しで解決できますよ。ここでは代表的な3つのトラブルとその解決法を紹介します。

テクスチャが表示されない(表示モードの確認)

一番よくあるのが「テクスチャを貼ったはずなのに、画面に何も表示されない!」というケースです。オブジェクトが真っ白だったり、設定したマテリアルの色にしかならなかったりします。そんな時は、まず落ち着いて次の3つのポイントをチェックしてみてください。

3Dビューポートのシェーディングモードは合っていますか?

Blenderの3Dビューポートには、作業に応じて表示方法を切り替える「シェーディングモード」があります。
テクスチャを確認するには、「マテリアルプレビュー」か「レンダープレビュー」に切り替える必要があります。
ショートカットキーの「Z」を押すと出てくるメニューから選ぶのが便利ですよ。

シェーディングモード見え方と特徴
ワイヤーフレームオブジェクトの骨組み(辺)だけが見える状態です。
ソリッドオブジェクトが単色のグレーで表示されます。形状を確認するのに便利ですが、テクスチャは表示されません。
マテリアルプレビューオブジェクトに設定したマテリアルやテクスチャが表示されます。シーンのライティングは反映されず、デフォルトのHDRIで照らされるので、手軽に見た目を確認できます。
レンダープレビュー実際にレンダリングした時の見た目に最も近い表示です。シーンに配置したライトの当たり方などがリアルタイムで反映されるので、最終的な仕上がりを確認するのに使います。

シェーダーエディタのノードは正しく繋がっていますか?

シェーディングモードが合っていても表示されない場合、シェーダーエディタのノード接続が間違っているかもしれません。「画像テクスチャ」ノードの「カラー」出力ソケットが、「プリンシプルBSDF」ノードの「ベースカラー」入力ソケットにしっかり繋がっているか確認しましょう。線が繋がっていなかったり、違うソケットに繋がっていたりすると、テクスチャは表示されません。

UV展開は完了していますか?

オブジェクトにテクスチャをどう貼り付けるかの設計図が「UV展開」です。これが済んでいないと、Blenderがどこに画像を表示すればいいか分からず、うまく表示されないことがあります。 編集モードで全ての面を選択し、「UV Editing」ワークスペースでUVマップがきちんと展開されているか確認してみてください。

画像が歪む(UV調整の必要性)

「テクスチャは表示されたけど、なんだか画像が伸びたり歪んだりしている…」というのも、よくある悩みです。これは主にUV展開がオブジェクトの形と合っていないことが原因で起こります。

オブジェクトのスケールを適用しましたか?

オブジェクトモードで拡大・縮小を行った場合、UV展開の前に必ず「スケールの適用」を行うようにしましょう。
これを忘れると、UV展開が意図しない形になり、テクスチャが伸びる原因になります。 オブジェクトを選択した状態でショートカットキー「Ctrl + A」を押し、メニューから「スケール」を選んで適用してください。

UV展開の方法は適切ですか?

「スマートUV投影」は手軽で便利ですが、複雑な形状のモデルでは歪みが出やすいことがあります。 歪みがひどい場合は、手動で「シーム」を入れて展開し直すのがおすすめです。シームは、3Dモデルのどこに切れ込みを入れて平面に開くかを指定する印のようなものです。適切な場所にシームを付けることで、歪みを最小限に抑えることができます。

面の向き(法線)は正しいですか?

まれに、メッシュの面の向き(法線)が裏返っていることが原因で、テクスチャの表示がおかしくなることがあります。編集モードで「オーバーレイ」表示設定から「面の向き」にチェックを入れると、表が青、裏が赤で表示されます。もし赤い面があったら、その面を選択して「Alt + N」キーで表示されるメニューから「面の向きを反転」を選んで修正しましょう。

レンダリングで色が違う(ライティングやノードの確認)

「3Dビューポートではいい感じだったのに、レンダリングしたら色が全然違う…」というのも、がっかりするポイントですよね。これは、ライティング環境の違いや、テクスチャの色空間設定が原因であることが多いです。

ライティング環境の違いを理解していますか?

前述の通り、「マテリアルプレビュー」モードはBlenderに内蔵されたHDRI画像で照らされているため、自分で配置したライトは影響しません。一方で、「レンダープレビュー」や最終的なレンダリング結果は、シーンに配置したライトの色や強さ、ワールドの背景色などが直接反映されます。 ビューポートとレンダリング結果の色味を一致させたい場合は、常に「レンダープレビュー」モードで確認する癖をつけるのがおすすめです。

画像テクスチャのカラースペース設定は正しいですか?

色を表現するための画像(ベースカラー)以外のテクスチャ、例えば凹凸を表現する「ノーマルマップ」や、光沢を調整する「ラフネスマップ」などを使う場合は、注意が必要です。これらのテクスチャは色情報として扱うべきではないため、画像テクスチャノードの「カラースペース(Color Space)」設定を「sRGB」から「Non-Color(非カラー)」に変更する必要があります。 この設定を忘れると、意図しない凹凸や光沢になってしまい、レンダリング結果がおかしくなる原因になります。

テクスチャの種類主な役割推奨カラースペース
ベースカラー (Base Color)オブジェクトの基本的な色や模様を決めます。sRGB
ノーマルマップ (Normal Map)細かい凹凸やディテールを擬似的に表現します。Non-Color
ラフネスマップ (Roughness Map)表面の粗さ(光沢の度合い)を制御します。Non-Color
メタリックマップ (Metallic Map)金属っぽさを制御します。Non-Color

カラーマネジメントの設定を確認しよう

レンダープロパティにある「カラーマネジメント」の項目も、最終的な色味に影響します。特に「ビュー変換」の設定が「Filmic」になっていると、白飛びなどを抑えてリアルな見た目になりますが、元の画像の色より少し淡く見えることがあります。 画像の色をそのまま出したい場合は、ここを「標準(Standard)」に変更すると、ビューポートでの見た目に近い色で出力されやすくなります。

まとめ

今回は、Blender初心者さん向けに、テクスチャの貼り方の基本から、作業がぐっと楽になるQuick Favoritesの活用法までを紹介しました。テクスチャを貼るには、まずマテリアルを設定し、シェーダーエディタで画像をつなぐ、という流れが基本です。そして、テクスチャをきれいに見せるために欠かせないのが「UV展開」でしたね。画像が歪んだり伸びたりしてしまうのは、このUV展開がうまくできていないのが主な理由です。まずは「Smart UV Project」のような自動機能から試してみると、その効果がよく分かりますよ。

また、何度も繰り返す作業は「Quick Favorites」に登録しておくのがおすすめです。UV展開やノードの追加といった操作を右クリックから一発で呼び出せるので、作業効率が大きく変わってきます。テクスチャが表示されない、といったトラブルが起きても、この記事で紹介した解決法をチェックすれば、落ち着いて対応できるはずです。最初は少し難しく感じるかもしれませんが、この手順に沿って練習すれば、誰でもリアルな質感表現ができるようになります。ぜひ、いろいろなテクスチャを使って、あなたの作品をレベルアップさせてみてください!

会場でBlenderの説明をしている解説者

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