これからプログラミング教育を始めたい保護者の方へ—この記事では、キッズ向けプログラミングの基本から年齢別の始め方、最新版のおすすめ教材・サービス5選、教室とオンラインの選び方、子どもが楽しく継続できる工夫まで、最新の情報をわかりやすく解説します。

1. キッズ向けプログラミングとは?特徴とメリットを解説
1.1 プログラミング的思考とは何か
プログラミング的思考とは、「論理的に物事を整理し、順序立てて考えながら問題を解決する力」のことを指します。コンピュータに命令を出すには、無駄のない構成や細かく具体的な指示が必要になります。これを繰り返すことで、子どもたちは筋道を立てて考える習慣が自然と身につきます。
例えば、「キャラクターを右に動かす」という一見簡単な指示でも、座標やスピード、〇秒後の動きなどを考慮する必要があります。こうした積み重ねが、日常生活にも応用できる思考力の土台となります。
1.2 子どもの論理的思考力を育てる効果
キッズ向けプログラミングによって得られる最大の効果のひとつは、論理的思考力と問題解決能力の向上です。プログラミングでは、目的を達成するための手順を分解し、必要な処理を順番に組み立てることが求められます。
子どもたちは、何度もトライ&エラーを繰り返しながら「どうすればうまくいくか」を自分で考えるようになります。失敗を恐れずチャレンジする姿勢も養われ、結果的に学習へのモチベーション強化にもつながります。
また、成功体験が直感的に得られる環境(例:実行するとすぐにアニメーションが動く)も、子どもにとって継続的な取り組みを可能にする要素です。
1.3 今注目されるSTEM教育との関係
現在、世界的に注目されている教育方針のひとつがSTEM教育です。STEMとは、
Science(科学)、Technology(技術)、Engineering(工学)、Mathematics(数学)
の4分野を統合的に学習する考え方で、21世紀型スキルを育てる方法として日本国内でも広まりつつあります。
この中でプログラミングは、「Technology」や「Engineering」に直結する教育分野であり、創造性と実践力を一度に育てられる点から、STEM教育には欠かせない要素となっています。また、小学生から始められる教材も多く、論理的思考力の他にも、
チームワーク・創造性・意思疎通力などの非認知能力まで育てる動きが増えています。
キーワード | STEM教育における関連性 |
---|---|
論理的思考 | 問題の分解と再構築、順序を考えるスキル |
想像力・創造性 | 目的を実現する手順を考案し形にする力 |
協働力 | チームでプログラムを作る際の話し合いと協力 |
自己表現 | 自分のアイデアを作品としてアウトプット |
STEM教育におけるプログラミング学習の位置づけは、単なるITスキルの習得にとどまらず、「生きる力」を育む教育の一環として注目が集まっています。子どもの将来の可能性を広げる意味でも、早い段階から親子でその理解を深めていくことが重要です。

2. キッズにプログラミングを学ばせる時期と年齢別ポイント
2.1 幼児(3〜6歳)におすすめの教材と遊び方
幼児期は、手を使って遊ぶことや、身近な事象に興味を持つ時期です。プログラミングというと難しい印象を抱きがちですが、この年齢では遊び感覚で「考える」「試す」「結果を見る」といったプロセスを体験することが重要です。キーボード操作や文字の読み書きに頼らず、視覚的かつ感覚的に学べる教材が適しています。
教材名 | 特徴 | 必要な機材 |
---|---|---|
キュベット(Cubetto) | 木製のロボットを動かす物理的なプログラミング体験。言葉を使わず遊べる。 | 専用ボードとブロック |
ころがスイッチドラえもん | コース設計をしながら原因と結果を学ぶ。論理的思考を育むのに役立つ。 | 本体セット |
カード式プログラミングおもちゃ(プログラミンカーなど) | 命令カードを並べて車やキャラクターを動かす。遊びながら順序や論理の基本を学ぶ。 | おもちゃ単体 |
遊びながら自然と「順序」や「因果関係」を理解できる設計の教材を選ぶことが、この時期の成功ポイントです。また、親の声かけや共感も学びの継続に大きく影響します。
2.2 小学生(7〜12歳)に向けたステップアップ学習
小学生になると、論理的に物事を考える力や読解力も発達しはじめます。このタイミングで、簡単な文字入力やタブレットを使ったプログラミングにも無理なくチャレンジできるようになります。子どもの好奇心に応じた教材を選ぶことが継続の鍵です。
2.2.1 ビジュアルプログラミングの導入
文字によるコードではなく、色分けされたブロックを組み合わせる「ビジュアルプログラミング」は小学生に最適です。代表的なツールには「Scratch(スクラッチ)」や「Viscuit(ビスケット)」などがあり、直感的に操作できる点が魅力です。
特にScratchは自分で作ったアニメーションやゲームを世界中のユーザーと共有できるため、他人の作品から刺激を受けることもできます。このように、トライアンドエラーを繰り返す中で自然と問題解決力も育まれるように設計されています。
2.2.2 ゲーム作りを通して学ぶ方法
小学生中学年〜高学年になると、より創造的かつ挑戦的な取り組みが可能になります。Scratchの応用だけでなく、「QUREO(キュレオ)」や「プログラミングゼミ」などゲーム開発型教材を利用することで、「自分だけのゲームをつくった」という達成感が学習意欲を高めます。
また、タイピングを習得し始めるこの時期からは、テキストプログラミングの基礎にも少しずつ触れさせておくと、中学以降の学習にスムーズに繋がります。
加えて、ロボット教材「KOOV(クーブ)」など、ハードウェアとプログラミングを組み合わせた体験型教材も有効です。自分の考えた通りにモノが動く体験は、論理的思考と創造性、手先の器用さを同時に育成します。
このように、小学生向けのプログラミング教育では、「成功体験の積み重ね」と「自分で工夫する余地のある教材」が重要となります。楽しく継続するためには、家庭での見守りや、子どもの興味が変化したときに柔軟に教材を見直す姿勢も必要です。
3. プログラミングをキッズ向けに学べるおすすめ5選
3.1 Scratch(スクラッチ)
3.1.1 ブロックを組み合わせる視覚的な操作
Scratch(スクラッチ)は、世界中の教育現場で広く使われている子ども向けのプログラミング学習環境で、マサチューセッツ工科大学(MIT)メディアラボによって開発されました。視覚的に理解しやすく、難しいコードを書くことなくブロックをドラッグ&ドロップで組み立てることで、自然とプログラミングの基本概念を身につけることができます。
3.1.2 世界中の子どもと作品を共有できる
完成した作品は、Scratchの公式サイトで共有でき、インターネット上で世界中の子どもたちと交流しながら学ぶことが可能です。これにより、創造力と協調性、自己表現の楽しさを学ぶことができます。
3.2 QUREO(キュレオ)
3.2.1 サイバーエージェントが提供する学習サービス
QUREO(キュレオ)は、大手IT企業であるサイバーエージェントグループが開発した子ども向けのオンラインプログラミング教材です。小学生が無理なく取り組める設計で、学校教材でも使われることが増えつつあります。
3.2.2 本格的なゲーム開発体験ができる
QUREOでは、基礎から学びながら、最終的には本格的なゲーム作品を自分の手で完成させるプログラム構成になっています。ステージを進める感覚で楽しく学べ、タイピングスキルやアルゴリズム的な思考力も身につきます。
3.3 プログラミングゼミ(DeNA)
3.3.1 iPadで操作できる無料アプリ
プログラミングゼミは、大手IT企業DeNAが提供する無料の教育アプリで、特にiPadやAndroidタブレットを活用した初心者向けの教材として人気です。操作も直感的で、設定も簡単なので、初めてのご家庭にぴったりです。
3.3.2 かわいいキャラクターで低学年にも安心
子どもたちが楽しめるように、キャラクターがナビゲートしてくれるため、プログラミング未経験の小学校低学年の子でも取り組みやすくなっています。キャラクターの動きや表情を操作することを通じて、命令と動作の因果関係や順序を理解できます。
3.4 KOOV(クーブ)
3.4.1 ソニーが提供するロボットプログラミング教材
KOOV(クーブ)は、ソニー・グローバルエデュケーションが開発したロボットプログラミング学習キットです。プログラミング学習と合わせて、「構造」「機構」の理解をロボット製作を通じて体験することができます。
3.4.2 ブロックとセンサーで創造力を育む
KOOVは、ビジュアルプログラミングと組み立て式のブロック、LED、センサーなどのモジュールを活用して、思い描くロボットを自分でつくることができます。試行錯誤を通じて創造力と空間認識力を養うことができ、STEAM教育(科学・技術・工学・芸術・数学)との親和性も高いです。
3.5 マインクラフト カップ(Minecraft: Education Edition)
3.5.1 人気ゲームを使った教育版プログラミング
「マインクラフト カップ」は、世界中で愛されているサンドボックス型ゲーム「Minecraft」の教育版を活用したイベントです。Microsoftが提供する教育版では、プログラミングや論理的思考、空間設計などの複数のスキルを学習目標にできる設計となっています。
3.5.2 課題解決型学習で協働力と創造力もアップ
与えられたテーマに沿った町や施設、未来都市などを共同制作で作る仕組みであるため、プロジェクト型学習(PBL)による課題解決能力、アイデアの具現化、チームでの共同作業を通じて社会性を伸ばすことが可能です。日本でも多くの小中学生が参加し、ICTリテラシー強化にもつながっています。
教材名 | 対象年齢 | 主な特徴 | 使用端末 |
---|---|---|---|
Scratch | 6歳〜 | 視覚的に学びやすく、作品を世界と共有可能 | パソコン、タブレット |
QUREO | 8歳〜 | ゲーム開発風の学習体験、サイバーエージェント提供 | パソコン |
プログラミングゼミ | 5歳〜10歳 | かわいいキャラクターと一緒に学べる無料アプリ | iPad、Androidタブレット |
KOOV | 8歳〜 | ロボットを組み立てるSTEAM教材 | タブレット、PC |
マインクラフト カップ | 10歳〜 | 課題解決型学習、教育版マインクラフト利用 | パソコン、タブレット |

4. プログラミング教室とオンライン学習、どちらを選ぶべき?
4.1 通学型プログラミング教室のメリットとデメリット
通学型の子ども向けプログラミング教室は、実際の講師や同年代の仲間と対面で学ぶことで、子どもの社会性や協調性も同時に育める点が大きな特徴です。教室での対面ならではのダイレクトな指導や励ましにより、モチベーションを維持しやすいことも利点です。
一方で、教室によってはプログラミング内容が標準化されており、子どもの発達段階や興味に応じた柔軟な対応が難しいこともあります。また、通学の手間や受講費用の高さも、家庭にとっては無視できない問題です。
評価項目 | メリット | デメリット |
---|---|---|
学習環境 | 双方向の対面指導で理解が深まりやすい | 決まったスケジュールに合わせる必要がある |
モチベーション | 仲間や講師と刺激しあうことで持続しやすい | 恥ずかしがり屋の子には負担になる場合も |
コスト | 施設・機材が整っている | 月謝・交通費を含めれば高額になりがち |
4.2 オンライン講座の特徴と選び方
オンライン型のプログラミング講座は、場所や時間に縛られず、自分のペースで学習を進められる柔軟性がある点が大きな魅力です。また、全国どこからでも質の高い授業にアクセスできることから、都市部以外に住む家庭にも適しています。
ただし、インターネット環境や端末の準備、子ども一人での取り組みが前提となるため、小さいお子さんの場合は保護者のサポートが不可欠です。また、学習の習慣化ができていないと、モチベーションが続かず継続が難しいと感じるケースも見られます。
オンライン講座を選ぶ際には、お試し体験があるかどうか、サポート体制がしっかりしているか、教材の内容が年齢やスキルに合っているかなどを確認しましょう。特に小学生以下の子どもには、アニメーションやキャラクターが登場する教材が適しており、飽きずに続けられる工夫がされているかどうかがポイントです。
4.3 家庭でもできるおすすめの始め方
本格的な教室に通う前に、家庭で気軽にプログラミングを始める方法として、無料アプリや書籍を活用するのも良い手段です。特に「プログラミングゼミ」や「ScratchJr」などは、未就学児や小学校低学年の子どもでも簡単に使える操作設計が特徴です。
保護者が一緒にアプリを触りながら遊ぶことで、子どもも安心して取り組むことができ、学習へのハードルがグッと下がります。最初は「ゲーム感覚」で楽しみながら自然と論理的思考に触れることで、子どもにとってプログラミングへの抵抗感を減らせます。
また、家庭学習においては「時間を決める」「成果を見せる場を設ける」などのルールを決めることも有効です。自宅にいながらも学習習慣を形成できれば、オンライン教材の活用時にもスムーズに移行できます。
5. 子どもがプログラミングを続けたくなる工夫とは
5.1 モチベーションを維持する仕組み
子どもがプログラミング学習を継続するためには、「楽しい」「もっと知りたい」と思える体験が不可欠です。ゲームやアニメーションといった子どもが興味を持つ題材を活用したカリキュラムを取り入れることで、学習自体を遊びの延長に感じられるようになります。
例えば、Scratch(スクラッチ)は、キャラクターや背景を自由にカスタマイズでき、動かし方も自分で工夫できるため、自分だけの作品を作る楽しみがモチベーションに直結します。また、QUREOではポイント制度やランキングなどゲーム感覚の要素が取り入れられており、毎日の達成感が継続意欲を高めています。
さらに、習得レベルごとにクリアするステージや認定バッジなど、「達成感」が感じられる仕組みの導入も重要です。これにより子どもは自分の成長を実感でき、自発的な学習につながります。
5.2 親子で一緒に楽しむ関わり方
保護者の関与も子どもの継続的なやる気に大きな影響を与えます。共働き世帯が多くなっている現代においても、親子で一緒にプログラミングに取り組む時間を持つことは、学習の定着につながるだけでなく、親子のコミュニケーションにも良い影響を与えます。
具体的には、子どもが作ったゲームやアニメーションに対し「どうやって作ったの?」「ここをもっと工夫してみたら?」などと関心を持って声をかけることが大切です。このような反応があると、子どもは自分の成果を肯定されたと感じ、継続する意欲が高まります。
また、小学生向けのビジュアルプログラミングツールは、専門知識がなくても親も一緒に楽しめる仕様となっているため、休日に一緒に作品づくりをすることもおすすめです。
5.3 発表の場を設けることの重要性
プログラミング学習において、学んだことを実際に形にし、誰かに見てもらう機会を設けることは、子どもにとって大きな達成感と次の創作意欲につながります。
例えば、学校や学習塾での発表会、オンライン上の子ども向けコンテスト、そして家庭内での作品発表会など、大小さまざまな発表の場を用意しましょう。毎月など定期的なサイクルで行うことで、次回に向けた目標が明確になり、自主的に学ぶ姿勢が育まれます。
特に注目されているのは、以下のような子どもを対象としたコンテストやイベントです。
イベント名 | 主催 | 特徴 |
---|---|---|
Tech Kids Grand Prix | サイバーエージェント | 全国の小学生がオリジナルアプリで競うコンテスト |
マインクラフトカップ | Minecraft Education Japan | プログラミングとゲーム制作を通じたチーム戦形式 |
KOOVチャレンジ | ソニー・グローバルエデュケーション | ロボット作品のプレゼンを実施、親子参加型イベントも |
このような場に参加することで、他の子の作品に刺激を受けるとともに、自身の成長を実感できることが継続の鍵となります。また、「誰かに見てもらう」という目的意識は、単なる学習を「発信」や「表現」に昇華させ、創造的学びへとつながっていきます。
6. まとめ
子ども向けプログラミングは、論理的思考力や創造力を育て、将来の学びや職業にも活かせる貴重なスキルです。ScratchやQUREOなど、年齢や興味に応じた教材を選び、学習の継続には親の関わりや発表の場が大切です。自宅学習と教室の特性を理解し、子どもに最適な方法を選びましょう。